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ねむい季節

今の季節はねむいですよね

邦画がクソなんじゃなくて、元々クソな映画は多いよ

映画の話題が盛り上がってると聞いてネットを見ると、「邦画が面白くない」「頑張ってる」「努力は無意味」みたいな論争になっててちょっと残念。
ただ、双方ともに言いたいことは判る。
だから、ちょっとだけ整理する。

ラバー [DVD]*1

クソな映画は多い

映画はけっこう観に行くよなんて人も、月に1本観てれば結構観てる方だ。
大抵の人は、テレビで観るのを含めたって、年に10本観てるかどうかってところだろう。
だから、「日本で普通に公開された邦画」と「海をわたってきた洋画」を比較することになる。
WOWOWとかスター・チャンネルで映画を観てると、それはもう酷い映画が沢山ある。
安いセットに雑な演技、適当な編集で謎な脚本。*2

そんな映画が、アメリカスペインオーストラリアノルウェー限らず大量にある。
さらに言えば、映画専門チャンネルで流すというフィルターをかけていてコレだ。
レンタルビデオ店にあるパクりっぽい題名の映画を2,3本借りてきて観たら判ると思う。
パクリ映画だから日本のレンタルビデオ店で借りられるのだ。現地にはもっと雑多にある。
つまり、どの国であっても公開されている映画の大半は、有り体に言ってクソだ。

予算の掛け方は、伝わりやすい面白さに効いてくる

例えば、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(Män som hatar kvinnor)」は、スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズの映画化作品だ。
デンマーク出身の映画監督ニールス・アルデン・オプレヴが撮って、スウェーデンデンマークだけではなく、北欧中心にかなりヒットした。
ファミリーには向かないと思うが、結構面白い。
ドラゴン・タトゥーの女 ミレニアム<完全版> [DVD]


さて、「ドラゴン・タトゥーの女(The Girl with the Dragon Tattoo)」は、アメリカの映画監督デヴィッド・フィンチャーが作成したリメイク映画だ。
抜群に面白い。相変わらずファミリーには向かないしデート映画としてもちょっとどうかとは思うが。
ダニエル・クレイグルーニー・マーラも画面映えする。
ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版)

おおよその制作費が、ニールス・アルデン・オプレヴ版が14億円、デヴィット・フィンチャー版が97億円だと言われている。
7倍の制作費の違いは、単純に面白さに効いてくる。
だから、初見の友達に勧めるなら、やっぱりデヴィット・フィンチャー版になる。

予算の違いは、ほとんど環境の違いだったりする

色々な影響があるので、コレが元凶だ、みたいな言い方はできない。
ただ、大資本がバックについて潤沢に予算が掛けられる映画と、そうでない映画を比較されると、言い返したくなる気持ちはわかる。
元々の流れを見ると、「スタッフに金を掛けなきゃ面白いものは撮れない」という発言が発端に見える。
「金も貰えないのにスタッフのやる気が上がるわけが無い」みたいな言い方に見える。
「金が無いんだからやる気も無いんだろ?」「やる気が無いから面白く無いんだろ?」みたいな煽り方は下品だと思う。

いま観に行けるので例えると、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」と「仮面ライダー1号」との比較をされた感じだ。
仮面ライダー1号はホントにクソだな。Batman v Superman: Dawn of Justiceみたいに金を使わないからだ」と言われれば一言いいたくもなるだろう。
金をかければ解りやすい面白さには繋がるだろうけれども、比較する対象が間違っている。
Ost: Batman V Superman

仮面ライダー45周年記念超大作 仮面ライダー1号 サウンドトラック

比較するのであれば、マーベル・コミックのパニッシャー映画版である「The Punisher: Dirty Laundry」あたりだろう。
フィル・ジョアノー監督が2004年版パニッシャーの主演トーマス・ジェーンを迎えて製作した自主制作の映画だ。
www.youtube.com*3

これと比較して、熱意が足りないとか、アイデアがイマイチみたいな言い方をされたのであれば、きっと反応も違ったはずだ。*4

簡単なまとめ

アサイラム映画は面白いのに、邦画はホントクソだな」みたいな文脈ならきっと、「邦画がんばってる」みたいな返答にはならなかったと思う。
邦画はスタッフにカネを払わないからモチベーションも上がらず面白い作品が生まれないと言われれば、言い返したくなる気持ちはわかる。
「スタッフへの金払い」とは無関係に、モチベーションは高く、やる気もあり、単純に投資されるお金が少ない。
現場で踏ん張っているスタッフを腐す前に、もっとギャラ以外の金を引っ張ってくるのが仕事じゃないのかな。
クソな映画は邦画洋画問わず大量にあるけれど、傑作の数は層の厚みが担保する。

まあ、クソなものはクソなんだけど、なぜクソなのかという理由で適当な事言われりゃ腹も立つだろうというお話でした。*5
カネが無きゃ熱意とは無関係に品質は保てないよ。どう無理しても5000万の予算で80億の映画は作れんって。*6
とはいえ、ジャンルに触れる機会が少ない一見さんを引っ張れない業界は、縮小していくよね……

蛇足

AlphaGoが8手前までの盤面使って評価しているって聞いて、すげえなっと思うのと同じように、
Twitterの1発言だけで評価している発言を聞くと、人類完敗中って感じがしてSF感ある。

今回基になって発言はこちら

では今の日本映画の何が悪いのだろうか。一番の問題は「お金」と強調する。「ギャラが低すぎ。キャストやスタッフはお金をもらったらもっと頑張る。『下衆の愛』は予算が低くてギャラも安いけどロイヤルティー(対価)を出す。ヒットしたらみんなと収入を共有するので公平でしょう? お金が戻ってくると、みんな頑張るじゃないですか」
【スクリーン雑記帖】今の日本映画にもの申す…「レベルが本当に低い!」 英映画配給会社代表が苦言(1/5ページ) - 産経ニュース

*1:熱意が一周回って内輪向けになっている映画。タイヤだけに。

*2:渋い演技を見せる役者がいたりすることもあるので、結構見るんだけど

*3:元が非公式だからかBOOTLEGって銘打たれてるのに準公式みたいになってるので貼り付け

*4:Vフォー・ヴェンデッタとは立ち位置が違うし意味合いも理解できるけど、地獄大使が喋るたびにかぱかぱマスクが動くのはなんとかならんかったのかな、とか

*5:「作品がクソなのはスタッフにカネ払わないから」に対して「スタッフはカネ無くてもやる気あって頑張ってんだよ」に対して「努力やモチベに関係なくクソだろ?」って返すの、クソリプっぽくて面白いね

*6:邦画はカネがあってもクソしか作んないよな?って言われてれば……まあハリウッドもカネかけて面白く無いのも作るし、やっぱり数じゃないかな:-)