競馬で確実に儲ける方法(もしくは彼氏彼女が言い出した時の対応)の話
寒いとお布団からでるのがおっくうでずっと寝てたいですよね。
さて、競馬必勝法はずいぶん色んな人が挑戦してます。
何億円も稼いで税務署と裁判した人も有名になりました。
どうやったら競馬で確実に儲けることができるのか、簡単に振り返りながら、
彼氏彼女親兄弟姉妹がなにか言い出した時に理解するための簡単な話をします。
競馬をかんたんに振り返り
「競馬」は、たくさんのお馬さんの中でどの子が速いのか当てっこする遊びです。*1
入場料200円を払って中山競馬場に行けば、だいたい12レースを観ることが出来ます。
パドックと呼ばれるレース前のお馬さんお披露目会で、どの子が速そうか観察して
馬券(勝馬投票券)を買ってみたり、買わなかったりしながら、実際のレース場に移動
そして、実際のレースでお馬さんが走るのを応援して、どの子が何着になるか見守るわけです。
筋肉の塊のようなお馬さんがのっしのっし歩くパドックは面白いし、レースも結構緊張するよ。
勝馬投票券と配当のお話(めんどうだけど読んでね)
俗に馬券と呼ばれる「勝馬投票券」は、日本の競馬の歴史と共に追いかけると面白いんだけどそれは又の機会。
なんで投票券っていうの?というと、投票した人に配当する方式だから。
これを、パリミュチュエル方式(Parimutuel betting)と言います。*2
一番早い馬を当てる「単勝」という投票だと
- レースで一番早いと思う馬の投票券を、みんなそれぞれ好きな金額で買う
- 競馬主催者が、一旦売り上げを全部ためる
- お馬さんのレース!
- 1番速い馬が決まる
- 競馬主催者が、一定の割合で経費などを取る
- 1番速い馬を当てた投票券の人達で、残りの売り上げを分け合う
日本で競馬を主催しているJRA(日本中央競馬会)は、単勝の取り分を20%にしてる。*3
具体的に書いてみるので、ちょっと電卓を叩いてみよう!
- お馬さん16頭で競争する。1着を当てる。
- 速そうな馬、勝てそうな馬、調子の良さそうな馬と、100人が100円づつ賭ける
- 100人×100円=1万円を、主催者がためる
- お馬さんのレース!
- 1番速い馬が決まる
- 競馬主催者(JRA)が、一定の割合(1万円の20%=2000円)を経費として取る。
- 1番速い馬を当てた投票券の人達で、残りの売り上げ(8000円)を分ける
72人が1着を当てれば、8000円÷72人=110円が取り分。残りの28人はゼロ。*4
え?1着を見事当てても、10円しか儲からないの?と思ったアナタは鋭い。
当てるだけでは儲からない競馬
どのお馬さんが、何着になるか当てる。
儲けるためには当てる必要があるけど、それだけじゃダメ。
狙った馬はピタリと当てる、なんと的中率80%だ!
というと凄そうに聞こえるでしょう?でもダメ。
例えばさっきのような100円が110円になるレースで80%の的中率の場合、どうなるか。
- 10回中、8回はアタリ。100円が110円に。10円×8回=80円の儲け
- 10回中、2回はハズレ。100円がゼロ円に。100円×2回=200円の損失
- 80円の儲け-200円の損失=差し引き、120円の損。
ね?
勝率80%でピタリと当てて見せてても、120円も損してる。
勝率90%でも、90円の儲け-100円の損で、10円損する。
競馬で確実に儲ける手法
ここまでで、競馬は、「どのお馬さんが速いかレースして、当てっこする遊び」というのは判った。
「賭け金ぜんぶから経費を引いた後、当たった馬に投票したひとで分ける」というのも判った。
そして、的中率が高くても、損することがあるというのも判った。
つまるところ問題は、どうやって賭けるか、ということになる。
儲かるときだけ賭ける競馬
実は、確実に儲かる賭け方がある。たぶんみんな習ってる。
例えば的中率が50%だったとする。2回に1回しか当てられない。
この時、オッズ*5が2倍の時にだけ賭けると、こんな感じ。
2回に1回は100円が200円になって、2回に1回は100円が0円になる。
つまり、賭け続けると、だいたい100円に近づいていく。これが期待値。習ったよね?
ここで、的中率がぐっと下がって30%だとする。
オッズが何倍の時に賭ければ損しない*8かは、こんな感じ。
- 3/10 × (オッズ×100円) + 7/10 × 0円 = 100円
- オッズ = 10/3 (≒ 3.33倍)
10回に7回は外れる人でも、3.4倍以上のオッズに賭け続けると負けないことになる。*9
つまり、自分の的中率を知って、どうやって賭けるかがポイントになるワケだ。
じゃあなんで儲からないの?
実はみんな結構当ててくるから。
例えば、4頭のお馬さんが走るとしよう。すると、だいたいみんな同じ予想になる。
たとえば、全部で10万票(10万票×100円=全部で1000万円)が投票されるとする。
経費で20%はとられるので、1000万円*10-200万円*11=800万円を当たった人で分ける。
- 1番:10回に5回は1着になりそう。5万票。オッズは1.6倍*12
- 2番:10回に3回は1着になりそう。3万票。オッズは2.6倍*13
- 3番:10回に1回は1着になりそう。1万票。オッズは8倍*14
- 4番:10回に1回は1着になりそう。1万票。オッズは8倍*15
自分の的中率が50%なら2倍以上のオッズに賭ければ儲かるわけだけど、自分が10回に5回は勝てるかな?と思ってる1番のオッズは1.6倍になってるから、儲からなくなっちゃう。
期待値を計算すると、こんな感じ。
- 1番:5/10 × 1.6倍 × 100円 = 80円
- 2番:3/10 × 2.6倍 × 100円 = 78円
- 3番:1/10 × 8.0倍 × 100円 = 80円
- 4番:1/10 × 8.0倍 × 100円 = 80円
全部儲からないんだね。競馬は賭け続けると結局目減りしていくのか……
ん?と上をみて思った人は鋭い。
そう、2番人気の2.6倍のオッズに賭けた時だけ、より負けてる。
これは払い戻し金額が266円になるのに、10円未満が切り捨てられるから*16。
つまり、全部が全部同じ期待値ってワケじゃない。
自分だけが当てると儲かる競馬
逆に言えば、
自分は10回に3回は1着になりそうだと思ってるのに、
みんなは10回に1回しか勝てないと思ってるとすれば?
例えばさっきの4番のお馬さんは俺は3倍強いと思う!なら、こんな感じ。
- 4番:3/10 × 8.0倍 × 100円 = 240円
自分は3万票ぐらい投票されてオッズ2.6倍ぐらいが適正だと思ってるのに、1万票しか投票されてなくてオッズ8倍なら、その差で、儲けることが出来る!
おお、これなら100万円握りしめて競馬場に行けば、240万円になるかも!
……とは、ならないんだね。
自分だけが投票すると、自分の投票でオッズが変わる競馬
具体的に見てみよう。エクセルがなければざっと見てね。
2016年1月17日(日曜)中山競馬場第一レース、3歳のお馬さんのレース*17だと
この時、10番人気が1着で、1番人気は2着だった。惜しいね。
さて、単勝(誰が1着か当てる勝負ね)は、主催者のJRAが20%経費で取るので、100円賭けて80円戻ってくるのがそのお馬さんの勝つ確率だってみんなが予想してた値になる。
計算するとわかるけど、100回に1回ぐらい勝つとみんな思ってたワケだ。
でも俺は100回に3回ぐらい勝つと思う!とか考えると、240円ぐらい戻ってくることになって、儲けられる!100万円だ!とか思うかもしれない。
でもね、
というわけで、自分が賭けることでオッズが下がっちゃう。
投票数で割るんだから当たり前なんだけどね。
- やりたかったこと:3/100 × 78.2倍 × 100円 = 234.6円
- 実際にやったこと:3/100 × 16.8倍 × 100円 = 50.4円
普通にみんなと同じように買ってれば80円ぐらいだった期待値が、大量に賭けると50円になっちゃう。*20
そういえば期待値の話
期待値って、賭けたら戻ってくる儲かる金額じゃなくて、
賭け続けるとそれに近づくだろうって予想の金額だから、
期待値が240円なら、100円賭けて240円戻ってくるって意味じゃ無いのね。
例えば、100回に3回は勝つ78.2倍のお馬さんに賭けられたとしていても
- 100回に3回は、7820円戻ってくる
- 100回に97回は、ゼロ円。(戻ってこない)
これで、100円賭けて期待値が240円って意味。
しかも、確率的にそうなるだろうって予測なので、100回ぴったりでこうなるとは限らなくて、1000回とか1万回とかやって、だいたい240円に近くなっていくって話。
まとめると
競馬で確実に儲けるには、
- 自分なら何着になりそうか予想ができて
- 自分の予想オッズと、みんなの予想オッズに差があって
- 自分が買ってオッズが下がったとしても、まだ儲かりそうで
- 何百回もゼロ円のハズレが出ても問題ないくらい資金力があって
- 期待値に近づくまで、ずーっと継続的にこの方法で賭け続けられる
という、たった5ステップなんだね。
ね?簡単でしょ?
蛇足的に、万馬券と本当に儲けたい人向けの話
万馬券。
100円賭けて、1万円以上になって戻ってくる投票券。
だれでも確認できる記事*21だと、地方競馬全国協会が公表している当時最高額だった三連単1,300万390円の万馬券がある。
17万6157票のうち、たった1票だけ当たったから総取りになってる。
ホトンドの人が外して、アタリが極少数の投票券が、万馬券。
これ、もうどういう意味か判るようになってるよね。
- 「みんなに人気があってみんなが当たると儲からない」
- 「みんなには人気がないけど自分だけが当てると儲かる」
という、当たり前の結果だね。
さて、いまのJRAの競馬は、9種類の馬券の買い方がある*22。
この9種類、適切に買うのがすごく面倒くさい買い方の馬券がある。
めんどうくさいって言うことは、間違えたり、適当に買う人が居るってことだね。
この「適当に買う人が多い割合」を出して、「適切に買う」と、その差分で儲かったりするかもしれない。*23
儲からないかもしれない。
まあ、めんどうくさいこと考えると、眠くなるよね。それではおやすみなさい。
*24
*1:堅めに言えば、馬の競走競技と、その着順を予想する賭博のこと
*2:主催者が賭けに参加しない馬券購入者間(Mutuel≒相互の)で賭け金を分け合うフランス場外馬券販売機構Pari Mutuel Urbainが方式名の由来
*3:勝馬投票法ごとの払戻率の設定払戻率 単勝より。競馬の予測をガチでやってみた - stockedge.jpの技術メモの*9の支持率は、2014年6月以前のデータを使ってるから改正前の計算式使ってるんだね
*4:実際の計算式はJRA関係法令等の競馬法施行規則p40 付録第6を見てね
*5:投票が当たった時に支払われる金額の倍率
*6:100円×2.0倍
*7:ハズレはゼロ円
*8:100円になる
*9:でも、100円賭け続けて100円になるなら、儲からないからやる意味はないよね
*10:10万票×100円=1000万円
*11:1000万円×経費20%=200万円
*12:800万円÷5万票=160円
*13:800万円÷3万票=260円
*14:800万円÷1万票=800円
*15:800万円÷1万票=800円
*16:より正確には、10円馬券の1円未満が切り捨てられて、10円馬券10枚単位で販売されてるから、10円未満切り捨てに見える。競馬法「第6条 日本中央競馬会は、その開催する競馬の競走及び第3条の2第1項の規定により指定された 海外競馬の競走について、券面金額10円の勝馬投票券を券面金額で発売することができる。2 日本中央競馬会は、前項の勝馬投票券10枚分以上を1枚をもつて代表する勝馬投票券を発売する ことができる。 」「第10条 払戻金を交付する場合において、前2条の規定によつて算出した金額に1円未満の端数があ るときは、その端数は、これを切り捨てる。」
*17:年度別全成績 2016年1月17日(日)1回中山6日発売票数
*18:2551万3200円(全賭け金)-510万2640円(経費20%)=2041万560円÷2609票(当たり券)≒7820円(10円未満切り捨て)
*19:2651万3200円(全賭け金)-530万2640円(経費20%)=2121万560円÷1万2609票(当たり券)≒1680円(10円未満切り捨て)
*20:中山競馬場のレースはみんなが集まる人気の場所なので単勝2500万円ぐらいみんな賭けるんだけど、地方競馬だと100万円台のレースも結構ある。つまり、4万円も賭けたらおんなじような事になっちゃう
*22:単勝式・複勝式・枠連・馬連・ワイド・馬単・3連複・3連単・WIN5
*23:堅めに簡単に言うと、非合理的な買い方を探して合理的に買う裁定取引を行う
*24:このエントリーは、以下のエントリーを読んでから知り合い向けに書きました。面白い話題をありがとう! stockedge.hatenablog.com stockedge.hatenablog.com