ねむい季節

今の季節はねむいですよね

原因がわからない時には計測してみる

どうも原因がわからないことがあるときは、とりあえず調べてみるという癖がある。
案外、電話して聞いてみたり、郷土資料の中に答えが書いてあることもあったりする。
ただ、ごくごく身近な話題になると、外に答えを求めても上手く行かなかったりする。



なので、計測してみるのが重要なんだけども……

【日本正規代理店品・保証付】Netatmo ウェザーステーション NET-OT-000001
Netatmoって、天気を調べるパーソナル百葉箱系の機械が気になる。
二酸化炭素濃度が測れる機械がなかなかお手頃な価格がなくて、ちょっとどうしようかなと。
ただこれ、一回サーバー上にデータを送ってそれから見ているようなので、継続性の面で難があるような……
うーむ。悩まずに買ってしまえば良いような気もするものの、どうしたものかな。
(この点取りは微妙に悩んでいる途中に書かれているので、レビューできるかどうかはこの後買うか次第)

邦画がクソなんじゃなくて、元々クソな映画は多いよ

映画の話題が盛り上がってると聞いてネットを見ると、「邦画が面白くない」「頑張ってる」「努力は無意味」みたいな論争になっててちょっと残念。
ただ、双方ともに言いたいことは判る。
だから、ちょっとだけ整理する。

ラバー [DVD]*1

クソな映画は多い

映画はけっこう観に行くよなんて人も、月に1本観てれば結構観てる方だ。
大抵の人は、テレビで観るのを含めたって、年に10本観てるかどうかってところだろう。
だから、「日本で普通に公開された邦画」と「海をわたってきた洋画」を比較することになる。
WOWOWとかスター・チャンネルで映画を観てると、それはもう酷い映画が沢山ある。
安いセットに雑な演技、適当な編集で謎な脚本。*2

そんな映画が、アメリカスペインオーストラリアノルウェー限らず大量にある。
さらに言えば、映画専門チャンネルで流すというフィルターをかけていてコレだ。
レンタルビデオ店にあるパクりっぽい題名の映画を2,3本借りてきて観たら判ると思う。
パクリ映画だから日本のレンタルビデオ店で借りられるのだ。現地にはもっと雑多にある。
つまり、どの国であっても公開されている映画の大半は、有り体に言ってクソだ。

予算の掛け方は、伝わりやすい面白さに効いてくる

例えば、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(Män som hatar kvinnor)」は、スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズの映画化作品だ。
デンマーク出身の映画監督ニールス・アルデン・オプレヴが撮って、スウェーデンデンマークだけではなく、北欧中心にかなりヒットした。
ファミリーには向かないと思うが、結構面白い。
ドラゴン・タトゥーの女 ミレニアム<完全版> [DVD]


さて、「ドラゴン・タトゥーの女(The Girl with the Dragon Tattoo)」は、アメリカの映画監督デヴィッド・フィンチャーが作成したリメイク映画だ。
抜群に面白い。相変わらずファミリーには向かないしデート映画としてもちょっとどうかとは思うが。
ダニエル・クレイグルーニー・マーラも画面映えする。
ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版)

おおよその制作費が、ニールス・アルデン・オプレヴ版が14億円、デヴィット・フィンチャー版が97億円だと言われている。
7倍の制作費の違いは、単純に面白さに効いてくる。
だから、初見の友達に勧めるなら、やっぱりデヴィット・フィンチャー版になる。

予算の違いは、ほとんど環境の違いだったりする

色々な影響があるので、コレが元凶だ、みたいな言い方はできない。
ただ、大資本がバックについて潤沢に予算が掛けられる映画と、そうでない映画を比較されると、言い返したくなる気持ちはわかる。
元々の流れを見ると、「スタッフに金を掛けなきゃ面白いものは撮れない」という発言が発端に見える。
「金も貰えないのにスタッフのやる気が上がるわけが無い」みたいな言い方に見える。
「金が無いんだからやる気も無いんだろ?」「やる気が無いから面白く無いんだろ?」みたいな煽り方は下品だと思う。

いま観に行けるので例えると、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」と「仮面ライダー1号」との比較をされた感じだ。
仮面ライダー1号はホントにクソだな。Batman v Superman: Dawn of Justiceみたいに金を使わないからだ」と言われれば一言いいたくもなるだろう。
金をかければ解りやすい面白さには繋がるだろうけれども、比較する対象が間違っている。
Ost: Batman V Superman

仮面ライダー45周年記念超大作 仮面ライダー1号 サウンドトラック

比較するのであれば、マーベル・コミックのパニッシャー映画版である「The Punisher: Dirty Laundry」あたりだろう。
フィル・ジョアノー監督が2004年版パニッシャーの主演トーマス・ジェーンを迎えて製作した自主制作の映画だ。
www.youtube.com*3

これと比較して、熱意が足りないとか、アイデアがイマイチみたいな言い方をされたのであれば、きっと反応も違ったはずだ。*4

簡単なまとめ

アサイラム映画は面白いのに、邦画はホントクソだな」みたいな文脈ならきっと、「邦画がんばってる」みたいな返答にはならなかったと思う。
邦画はスタッフにカネを払わないからモチベーションも上がらず面白い作品が生まれないと言われれば、言い返したくなる気持ちはわかる。
「スタッフへの金払い」とは無関係に、モチベーションは高く、やる気もあり、単純に投資されるお金が少ない。
現場で踏ん張っているスタッフを腐す前に、もっとギャラ以外の金を引っ張ってくるのが仕事じゃないのかな。
クソな映画は邦画洋画問わず大量にあるけれど、傑作の数は層の厚みが担保する。

まあ、クソなものはクソなんだけど、なぜクソなのかという理由で適当な事言われりゃ腹も立つだろうというお話でした。*5
カネが無きゃ熱意とは無関係に品質は保てないよ。どう無理しても5000万の予算で80億の映画は作れんって。*6
とはいえ、ジャンルに触れる機会が少ない一見さんを引っ張れない業界は、縮小していくよね……

蛇足

AlphaGoが8手前までの盤面使って評価しているって聞いて、すげえなっと思うのと同じように、
Twitterの1発言だけで評価している発言を聞くと、人類完敗中って感じがしてSF感ある。

今回基になって発言はこちら

では今の日本映画の何が悪いのだろうか。一番の問題は「お金」と強調する。「ギャラが低すぎ。キャストやスタッフはお金をもらったらもっと頑張る。『下衆の愛』は予算が低くてギャラも安いけどロイヤルティー(対価)を出す。ヒットしたらみんなと収入を共有するので公平でしょう? お金が戻ってくると、みんな頑張るじゃないですか」
【スクリーン雑記帖】今の日本映画にもの申す…「レベルが本当に低い!」 英映画配給会社代表が苦言(1/5ページ) - 産経ニュース

*1:熱意が一周回って内輪向けになっている映画。タイヤだけに。

*2:渋い演技を見せる役者がいたりすることもあるので、結構見るんだけど

*3:元が非公式だからかBOOTLEGって銘打たれてるのに準公式みたいになってるので貼り付け

*4:Vフォー・ヴェンデッタとは立ち位置が違うし意味合いも理解できるけど、地獄大使が喋るたびにかぱかぱマスクが動くのはなんとかならんかったのかな、とか

*5:「作品がクソなのはスタッフにカネ払わないから」に対して「スタッフはカネ無くてもやる気あって頑張ってんだよ」に対して「努力やモチベに関係なくクソだろ?」って返すの、クソリプっぽくて面白いね

*6:邦画はカネがあってもクソしか作んないよな?って言われてれば……まあハリウッドもカネかけて面白く無いのも作るし、やっぱり数じゃないかな:-)

映画のオススメは、別に観たいから聞いてるわけじゃない

趣味の話で「自分は映画結構見るの好きです」という話をすると、まず間違いなくオススメを聞かれるんだけど、それは別に映画のタイトルについて聞かれているわけじゃない。
雑談なんだよね。

まず、正しく謙遜しよう

自分よりハマってる人がいることは免罪符にならない。
趣味に真摯だと、僕なんてまだまだですよ、と言いたくなる。
本代が月5万円だ。周りから驚かれたけど、でも荒俣宏とか居るし……は止めよう。
月に一冊小説を読んでればまあまあ読んでる方、という「一般的な読書が趣味の人(月2000円程度)」を基準に、だいたい25倍も趣味に金や時間を使ってるという自覚が欲しいところ。
荒俣宏さんはやはり特殊なのだ。
そして一般人の25倍も、やはり特異だ。


映画館に観に行く人の7割は年間4本以下だ。*1
年間100本見るなら、一般人の25倍は映画に時間と金を費やしてる。
「観てる人に比べると全然見てないけど、結構観てる方かもね」と返すのが良い。
それでも、「え!年間100本以上見る人ってそんないっぱいいるの?」みたいになる。

でも、日本人口の1%もいないと思うよ。
フルマラソンの年間完走者が30万人ぐらい*2いるみたいだけど、それより少ないのではないかな?
(日本人口が1億3千万人くらいだから、フルマラソン完走者は全体の0.23%だね)*3

オススメ映画の答え方

例えば飲み会で、家で数十種類のバラを育ててる人がいたとする。
えー、家でそんなにバラ育てるなんて凄いっスね、やっぱ綺麗だからスか?
みたいな話になるだろう。たぶんそんなに面白い質問は思いつけない。
こう言う時に、「バラは四季咲きって言って、実は春だけじゃなくて秋にも見頃があるんだよ」みたいな返し方をしてくれる人は、話が盛り上がりやすい。
近所にあるバラが見られる公園の話なら、行ってみようかなと盛り上がりやすい。

ポイントは、本当に公園に行くかどうかは全く関係ないってことだ。
映画も同じで、観るつもりかどうかはあんまり関係なかったりする。

最近観た映画の中でオススメを答える

一番無難なのが、最近観た映画でオススメを答えるやり方。
どこの映画館に行ってもかかってる大作系で、面白かったのを話題に出せば良い。
火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)
「オデッセイとか面白かったですよ。火星の人ってSF小説が原作の映画で、NASAの火星探索チームが火星の大嵐で脱出するんですけど、ふっ飛ばされた1人は死んだと思っておいてっちゃうんですね。でも、実は死んでなかった。火星に独りぼっち、地球は遥か彼方、通信手段もない、全員死んだと思ってる、食料も少ない。でも地球に帰るんだ!ってヤツです」
実際には、「へー、どんな映画?」「SFかー、CGとか凄いの?」「なんかTOKIOみたいだね」みたいな合いの手が挟まったりする。

ここで重要なのは、ベストの回答をする必要は無いってこと。

オデッセイ面白いけど、ちょっとSF技術寄りだからドラマ性とか求めるとそこまでとは……みたいに悩む必要は無い。

DVDやブルーレイが借りられそうな中で、話が広がりそうな映画を答える

まあ、とは言え最近見た大作映画系はそんな面白くもなかった、なんて時期もままある。
自分が面白いと思ってないのにオススメするのは、ちょっと変だ。
そういう時は、ここ数年で面白かった映画をオススメすれば良い。

ここは、その人となりが出る部分だと思う。
政治的な偏りがある話題が出てたのに、アメリカン・スナイパーを勧めるのは地雷だろう。
家で子どもと映画観るだけだなァみたいな前振りに対して、ウルフ・オブ・ウォールストリートを勧めると今後ギクシャクすると思う。

でも、例えば恋愛映画好きっていう女性に、ドン・ジョンマジック・マイク*4を勧めてはいけないってことは無い。もちろん勧めてはいけないタイプの相手もいる。

いつでも使える持ちネタで答える

持ちネタを持っておくのが楽なタイプもいる。
相手に合わせて自分の見た中から映画をチョイスするのが苦手なタイプもいるからだ。

大作系の映画しか勧められないと、なんか自分が薄っぺらく思えてしまうという人もいるかもしれない。(ほんとはそんなことないし、面白かったものを素直に面白いと言えるのが良いことだとは思うけれども、どうしても素直になれないこともある。その態度が趣味には重要だったりもするし)

そういう時には、デトロイト・メタル・シティじゃなくてアンヴィルをオススメとしてみるとか、ちょっとひねっておくのが良いと思う。一見さんが見て辛くなく、メジャーすぎず、それでいて自分の好きな映画。

どうしても面倒くさい場合

見て面白かった映画の中で、100分以下の映画を勧める。
例えば、フォーン・ブースは、80分ちょいの映画だ。

サウンド・オブ・ミュージックは名作だし面白いし見ておくとそのネタが色んな所で使われているのが分かってお得なんだけど、単純に3時間近い映画はそれだけで人を消耗させる。

一時間半程度の映画は、ちょっと見てみようかなという気になるので、機械的に100分以下の映画をチョイスするのは双方にとって悪いことにはならない。

答え方が雑談になるんだけどね

話をするときに、相手と共通の話題を出したいっていうのは判る。
自分も上の説明では、映画をよく観る人なら観てるか聞いたことがあるだろうってものからチョイスしてる。

でも、ディズニーでオススメはって言われてアイアン・ウィルじゃなくてスノー・ドッグを勧めるとか、変なのって言われてキューブじゃなくてπを勧めるとか、そういうのでも良いと思うんだよね。

ベイマックスが面白かったって言う相手に、ロボット繋がりでパシフィック・リムアイアン・ジャイアントジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日*5を勧めたって良いと思うんだ。

まあ、「自分は結構偏ってるから」「どんなふうに?」とか「どんなのが好きなんですか?」「スポ根とか」「じゃあタイピスト!ってタイプライターの早打ち選手権に挑む映画が」とか、そういう会話になるのが雑談の醍醐味のような気がする。
そうして会話をしながら自分の好きな映画を喋るだけ喋っておけば、どんな席でもそう問題になることは無いと思う。
そう気負うこともないさ。では、良い雑談を。

紹介映画情報

以下、文中に出てきた映画についての紹介。
Amazon画像使ってるのでクリックすると購入ページに飛ぶけど、借りた方が良いよ)

*1:第4回「映画館での映画鑑賞」に関する調査 - NTTコム リサーチ 調査結果より。アンケート調査だけどね

*2:マラソンポータル最大手RUNNET運営会社のプレスリリースによる全日本マラソンランキングの完走者数よりアールビーズ、「第11回全日本マラソンランキング」を発表 2014年4月~2015年3月集計結果 最高齢完走者は男性89歳、女性80歳|プレスリリース配信サービス【@Press:アットプレス】

*3:映画館に限ると、映画入場人員はここ数年1億6千万人程度(過去興行収入上位作品 一般社団法人日本映画製作者連盟)。アンケート調査を考慮すると、映画を観ること自体はかなりの規模の母数があるけど、月1本以上観るのは10%以下(第4回「映画館での映画鑑賞」に関する調査 - NTTコム リサーチ 調査結果)。

*4:両親と一緒に見てはいけないタイプの映画

*5:OVAだけど

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Kindleは持って歩く文庫本であって、書棚ではない

自分はいろいろな理由があってKindleをでっかくてキーボードが付いてた頃から知ってるのだけれども、キーボードがなくなった頃に買った。バックライトもついていない、アメリカで流行りだした頃のKindleで、「Kindle Touch」という、後継機がすぐに出て販売期間が短かったKindleを持ってる。
それで、長いこと青空文庫をPDFにして読んだり、シャーロック・ホームズを入れて読んだりとかしてたんだけれども、かなりクセのあるデバイスであることは間違いない。
うっかり間違ってKindleを買わないように、またKindleを買った人が最適な使い方をできるように、ポイントを書いてみたいと思う。
Kindle Paperwhite (ニューモデル) Wi-Fi

Kindleは持ち歩く文庫本である

Kindleは、腰を据えて家で本を読むデバイスでは無い。
そこでは紙の本を読もうよ。
白黒だし応答性能は悪いし、紙の匂いもしなければちょっと指を挟んでおいたり、付箋を貼ったり、コピーをとったりもできない。根本的に紙の本とは違う。
そもそも文字サイズが変えられるから紙面も一定じゃないし、読書体験という意味では良いところも悪いところもある。紙の本は、単に紙にインクで情報が載ってるだけじゃない。

ただこれが、出先に持って出るとなると、途端に使い勝手の良い本に化ける。
どんなに分厚くて重たい本でも持って歩ける。判型もKindleデバイス一つだけだし、複数冊持ち歩いても重さは変わらないし、どこに行ってもすぐに続きから読める。
駅の構内で、病院の待合で、バスを待つ間に、長いレジに並んでる時に、新幹線で弁当を食べ終わって、昼休みにベンチで、コーヒーが入り終わる前に。
本当にどんなところでも、何のストレスもなく、続きからさっと読める。さっと閉じられる。
隙あらば本を読んでいたい人間にとって、ほとんど無敵のデバイスになってる。

そして、読み終わった後、他の本をAmazonの売り場から直接買える。
E Ink搭載の電子ブックリーダーとしてのKindleは、販売初期から現在に至るまで、一貫して携帯電話通信網を無料で使ってAmazonの売り場から書籍をダウンロードしてこれる。
どこにいても、携帯さえ通じれば、次の本を落としてこれる。
「すべての本はAmazonで買え、そこにあるから」という傲慢さとも言えるかもしれない。

Kindleは書棚ではない

本を管理することに関して、Kindleは無能だ。はっきり言おう。管理はできない。
例えば1GBもあれば、相当数の本が入る。
たぶん、池波正太郎Kindleで買える本の全てが入る。
ただ、入るだけだ。
鬼平犯科帳を読もうと思ったり、仕掛人・藤枝梅安を最初から読もうと思うと、とたんに面倒になる。とてもやっていられない。ちまちまとKindle内でフォルダ分けをするのは拷問だし、検索も面倒で結果も信頼できるかどうか良くわからない。

結局、Amazonの売り場で検索するのか、ローカルに置いた買い取り済みのAmazonの売り場の縮小版から検索するのか、それだけの違いでしか無い。

それでもなおKindleを使ってしまうのは

Amazonの売り場を手元において、いつでも本が読めるのがKindleの利点。
極端に言えば、それだけがメリットで、それだから自分はKindleを使ってる。

繰り返しになるけど、Kindleは持ち歩く文庫本であって、書棚ではない。
本を所有することに喜びを見出すタイプの人にはKindleは向かない。
また、書棚に集めておくことで新しい何かを生み出すタイプの人にも向かない。*1
足繁く古本屋に通うような趣味の人間がやってしまう、今見つけた時に買わないと次は無いかもしれないという買い方も、実はあまり向いていない。(セールがあるので仕方がない面もあるけれども)

ほとんどの人が、自分の書棚をポケットに入れて持ちだしたり、ドライブするときにシリーズ全冊をトランクに詰めて出かけないように、Kindleも今読んでいる一冊の本を持ち歩くのに特化されている。
ただ、Kindleは本を読み終わった時に、その場でAmazonから次の本を取り寄せることができる。読み終わった本が重荷になることもない。
ただそれだけのことで、それだけだからこそあの当時爆発的に売れたんだと思う。Amazonが偏執的に品揃えに拘るのはそこが理由じゃないだろうか。

そういう意味では、Amazonの品揃えに負けないところがブックリーダーを「持ち歩ける書棚」として売っていくことで一定の地位を築くことは今からでもできるんじゃないかな。*2
少なくともE Ink版のKindleは書棚としては全く使いものにならないし、持ち歩ける文庫本としては別に問題ないからたぶん今後も改善されることはないと思うし、それで良いんじゃないかな*3
それでは良い読書体験を!

今回のネタ元

mercury-c.hateblo.jp
面白い話題をありがとう!
自分は、Kindleでは管理していません。常にそこにはフローがあるだけでストックしていません。Amazonにストックして置けるのがKindleの良い所だと思っているので。(あの本この本と同時に読んだりすることもあるけど、10冊を超えることはないかな)

*1:殆どの研究や、ある種の趣味の場合、書棚に本が蓄積されることが価値そのものだったりする

*2:b.hatena.ne.jpブコメにある通り、すでにそれは始まってると思う

*3:ダメだと思う人がKindleを買うときっと損するだけというのがこのエントリーの趣旨

おそ松さん 第17話 十四松まつり は、実は本物の十四松が出ているわけでは無い!?

おそ松さん #17 十四松まつり、すごかったですね。
でも、違和感がなかったですか?そう、「十四松と概念」。
インサイドヘッドの抽象概念のトンネルのように、どんどん観念的な概念としての十四松が掘り下げられていく話が違和感バリバリだったという話ではなくて。

屋根の上で十四松が「兄弟のモノマネ」をすることで、十四松とは何かを探していく過程の部分。一松だけモノマネされていない。全てはこの些細な違和感から始まりました。

つまりあの十四松は、本物の十四松では無いのでは?
あれは、一松の考える十四松なのではないか?
そう考えると、十四松まつりに筋が通ります。

以下、ネタバレを含むので、「十四松まつり」を観てからにしてね。

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映画『世界最速のインディアン』 夢との向き合い方が人生になる

世界最速のインディアン』 夢との向き合い方が人生になる

たまに、ふらっと映画を観たくなる。
なんとなくなんだけど、何千億円もかけて作られた映画を、2000円もせずに見られるのはすごい贅沢なのに、ちょっと高いなとみんなは思ってるんじゃないかな、と思う。
単館系の映画館がたくさんあって、それを観に行ってた頃から好きで、みたいな話はまた別の機会にするとして、休日の夜にご飯でも食べて帰ろうかなと思った時に、ふと映画館に寄りたくなることがある。今だとまずネットで調べてからってなりがちだけど、いきなり行ってみるのも悪く無い。

その時も、なにかやってないかな、と、映画館でポスターを見た。
スマイルBEST 世界最速のインディアン [DVD]
世界最速のインディアンアンソニー・ホプキンスが、なんとも言えない笑顔でこっちを見ている。
ああ、これは大当たりか大外れかのどちらかだ。B級テイストあふれるというと失礼なんだけど、つまり超大作映画みたいに派手にお金をかけてガンガン押し付けてくる楽しさではない。

でも、気になるじゃないか。世界最速のインディアン。すごい早いのか。インディアンと競争するのか。なんなのか。

庭の芝生の手入れをしろよと隣人に小言を言われるような小さな町に一人で住む機械いじりが好きな爺さんが主人公だ。隣の家に住む男の子とは仲良しで、しょっちゅう話をしたり、バイクいじりを見せたりしている。
この爺さん(バート・マンロー(アンソニー・ホプキンス))の誕生日を、街のホールでお祝いしていると(そういう小さな町なのです)見るからにバイカーという風体の若者たちがドヤドヤとやってくる。世界一速いバイク乗りと名乗ってるのは誰だ!
この時、バートは一回スッとぼけるのだ。誰がバートかな?と。
豪傑でもなく、大胆でもなく、それでいて結局レースすることになれば、海岸でレースしてターンで失敗したと悔しがる。そして、いつかアメリカのボンヌヴィルにあるソルトフラッツ(塩湖にできたまっ平らな平原)で行われる、世界一速いバイクを決める大会に出場したいと夢を語る。

そう、このバートのオンボロバイクの愛車が、インディアンというのだ。
いつかを夢見て、ひたすら愛車を磨き速度を上げる工夫を続けるバート。
そして、医者から狭心症を告げられ、もはやバイクには乗れないと宣告される。

いつかはもう来ないかもしれない。今しかない。
そうして、バートはニュージーランドの片田舎から、延々とアメリカはユタ州のボンヌヴィルを目指す。
その出発の時、彼の見送りに来たのは、海岸で勝負を挑み、バートのインディアンが浜辺でターンできなかったのを笑っていたバイカーの群れだ。
どんな時でも、バートは自分から名乗り、そして握手を求める。ユーモアを忘れず、相手への敬意と愛情を持ち、それでいてキッチリ値切るし、手伝ってくれと協力を求めることも厭わない。

彼は諦めず、ついにソルトフラッツに辿り着く。
そして、困難に当たるたびに解決策を探り、助力を頼み、世界最速を目指す。

彼が結局のところ、世界最速になれたかどうかは、映画を見ればわかる。
なんなら、ググったりすればすぐに分かるだろう。実話を元にした創作だということもわかる。
だが、バートの生き様に影響されて、そしてこの映画に関わった人たちが言いたかったのは、たぶん事実そのものじゃない。

世界には見たこともないものがあり、聞いたこともないことがある。
ニュージーランドの片田舎に引きこもってひなが一日バイクを弄ってるような爺さんでも、過去があり思い出があり、そしてまだ夢がある。そして、その夢に対してどう関わっていくかが人生で、老いて枯れていくことも含めて、きっとその人の生き様なんだろう。

夢があっても、今できないこともあるだろう。今すぐできる人ばかりじゃない。
でも、率直に名乗ったり、相手の話を聞いたり、困ったときに助力を頼んだり、そういった普段の行動が、その人の生き様を示しているような気がする。
アンソニー・ホプキンス演じる映画の中のバートは、若者は苦手そうだし、慣れないことでは戸惑うし、中古車を値切った上に溶接の手伝いをさせることに躊躇しない。聖人でもなければ、ヒーローでもない。そこにいるのは夢のために、自分の人生を賭けた男がいるだけだ。

自分が、何かのために人生を賭けるとき、そのチップには何が映っているだろうか。


そんなことを考えながら、帰りの電車に揺られた。
映画館にいきなり行って、何も調べずにポスターだけを見て映画を観る。それもまた、きっと生き様なんだろうな、とか。
感動するわけでも大笑いするわけでもなく、何度も見返すような映画では無いと思うけど、ほんとうにふっとした時に観たくなる、この映画のような人生を送れているか、たまに確認したくなる。

紹介映画情報

世界最速のインディアン』The World's Fastest Indian

ニュージーランド最南端の街、インバーカーギル(Invercargill)に住んでいたバート・マンロー(Burt Munro)ことハーバート・ジェームス・マンロー(Herbert James Munro)の実話に基づいた映画。日本では赤バイの名で有名な「インディアン」の改造バイクを相棒に、アメリカはユタ州ボンヌヴィル・ソルトフラッツで行われる世界最速記録の大会へと向かうロード・ムービー。127分。

おそ松さん 第一松 #3.5 松汁/童貞なヒーローに見る、「あ、これほんとに怒られたヤツじゃね?」

おそ松さん面白いですよね。

第一松が発売されたので、予約してた人は週末お家に帰ってゆっくり楽しんだのではないでしょうか。
おそ松さん 第一松 [Blu-ray]
ほいでね、楽しみにしてた完全新作、#3.5 松汁/童貞なヒーロー、観た?
まだの人は、さっそくみるんだ。
これ、最初にお知らせが入ってるでしょ。チャプターで第3.5話にした時に入ってる「お知らせ」の部分ね。

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ここよりのお話は
4話と5話の間くらいの
話数として広い心で見てね!

おそ松さん 第一松 Blu-ray 「おそ松さん」製作委員会 赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会 エイベックス・ピクチャーズ 2016/01/29 EPISODE第3.5話 お知らせより 該当部分を一部切り出し

内容については、とりあえずはおいといてさ、(土曜出勤で日曜日に見るつもりの人もいるかもしれないし)まずね、この時点でおや?と思うわけじゃない。
今回の第一松、つまりブルーレイ&DVDの第一巻の収録内容は、こう

  • #2 就職しよう/おそ松の憂鬱
  • #3 こぼれ話集
  • #3.5 松汁/童貞なヒーロー
  • 特典映像(ショートフィルムシリーズ #01「しりとり」、10月16日スペシャル上映イベント「6つ子だよ、全員集合!!トト子もいるよ♪」ダイジェスト収録)

これでも、普通に考えたら、こうなる予定だったんだよね。

  • 第一松(こうなったハズ)
    • #1 復活おそ松くん
    • #2 就職しよう/おそ松の憂鬱
    • 特典映像「6つ子だよ、全員集合!!トト子もいるよ♪」ダイジェスト収録
  • 第二松(こうなったハズ)
    • #3 こぼれ話集
    • #4 自立しよう/トト子なのだ
    • 特典映像 #4.5 松汁/童貞なヒーロー

だって、4話と5話の間のつもりなら、そりゃ4.5話だろうよ。


つまりこれ、ほんとに怒られたんじゃないのかな。パロディ部分。*1
流石に最初から1話収録せずに完全新作作るって話題作りは無いよなぁと思ってたけど、そりゃまあそうだろうなと。ぜんぜんブルーレイ&DVDにするにあたって間に合わなかったんだろうな、と。*2

権利関係で揉めそうなリスクは取れなかったんだろうなという気もする。というかマジで許可とってなかったんかいな……すごいことするな……

おそ松さん 第一松 [Blu-ray]

おそ松さん 第一松 [Blu-ray]

特殊ケース仕様は、ちょっと家族の前では気を使うと思うけど、そもそもおそ松さんは家族の前では気を使うアニメだから、そこはそれか。あ、#3.5はおまけ的なショートムービーとは違って、ガチフルサイズで入ってるからオススメだよ。特に「童貞なヒーロー」が。では、おやすみなさい。

*1:ニュース | おそ松さん

*2:OAWがOSOになってる部分も、結構いっぱいいっぱい感あるし